11.13.2005

秘密を教えてあげる

もしかして、僕は、化け物なのかもしれない。

少年はある発見をしてしまった。手のひらを口元までもってきて、そっと。ふぅーっと吹く。冷たい。はぁーっとはく。温かい。ふぅーっ。はぁーっ。ふぅーっ。ママに教えてあげたい気もするけど、どちらかというと、なんだかこればかりは、明かす気にはならない。よく分からないけど秘密にしておくべきだ。両手を口元までもってきて、はぁーっ。

友達もそうなんだろうか。いや、友達にもやってもらって、ふぅーもはぁーも同じだったらバカにされる。やめておこう。僕は化け物かもしれないけど、それはそれで大丈夫だ。温かいのも、冷たいのも出せるんだけど、誰にも教えない。

うんと練習したら、僕はヒーローになれるかもしれない。火を吐いて悪者をやっつけたり、雪女みたいに冷たい息を吐いてカルピスを凍らせることだってできる。何日、練習したらできるのだろう。ピアノのお稽古は一生かかると先生は言っていた。毎日練習したらできるのだろうか。

でも、ヒーローになったら、本当の名前は言っちゃいけないんだろうな。

ずーっと内緒。

ずーっと。

ずー・・・っと。

誰にも言わずに・・・。

・・・。

「ママー」

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