6.08.2005

願望的思考

この数ヶ月、声の調子が悪い。とにかく伸びない、伸びない、伸びない。のである。その前も特にキレイに伸びてたわけでないが、明らかに、前より伸びなくなってる。タンが詰まってるわけでなく、もっと渇いた、何かが喉の奥で声を押し殺している感じだ。最近よく、むせる。

男はスタジオに、練習しに行く。バンドのメンバーでは、気付いてる者、気付いていない者もいる。男はなるべく丁寧に、少しずつ、ゆるやかに声を出すようにするが、長い音符になると、肺の空気がなくなるとたんに途切れてしまうか、再びむせる。聞き手によっては大して気にならないミスかもしれない。聞き手によっては痛恨のミスかもしれない。気付いているメンバーとしては耳ざわりだし、不安を催す。次のライブは大丈夫か。しかし、男は誰よりも不安だ。唯一の救いは、打つ手はまだまだあることくらいだ。

腹筋、睡眠、ダイエットコーラ、背筋、立つ、座る、クビを締めすぎないエリ周り、寝そべる、腰周りを締めすぎないジーパン、朝、ほっとレモン、ホカロン、敢えて睡眠不足、暖かいお茶、冷たいドクターペッパー、痩せる、煙草のタール減少、昼、練習前におもいっきり煙草の煙でわざとむせてみる、禁煙、肺で歌う、よくわからないけど腹で歌う、太る、練習前に妻と喧嘩、練習前に子供と遊び、風呂に入ってるつもりで歌う、水曜日、金曜日、土曜日、日曜日、そして、練習しまくる、練習全然しない、結局練習。まだまだある。まだまだある。

咳があまりにもひどくなって、一旦男は退室し、手洗いに向かう。戸を閉める間もなく、「物体」が喉を上って来る感覚。呼吸ができなくなり、混乱し、目からは大粒の涙、シャツがグショグショになるほど汗が流れ出る。役に立たない手足。おごっ、と、口から、物体が、床にカランと落ちる。まぎれもなく、ひらがなの「ご」。血で少し汚れた「ご」。口中に甘酸っぱい、痛く、熱い胃液の味が広がる。男は両手で「ご」を床から拾い上げ、その場で泣き崩れてしまう。

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個人用メモ:答えはきっと腹にあるのかな?

コメント2archive

Anonymous Anonymous

君の事は忘れない。
華やかに散れ

12:34 am  
Blogger cayske

まだまだツボミっす。

9:15 am  

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