6.08.2011

文太牛耳郎の家

牛耳郎は海が好きなので砂浜に家を建てた。本当は海に浮かぶ家にしたかったが、何もかも思い通りにいかないのが人生というもので、砂浜に家を建てたのだった。水平線から登る太陽とともに起きて、昼間はビーチバレーの練習をし、夕方は魚を釣って、それを食べ、夜は波の音を子守歌にして寝るのだった。

幸せな日々は何年か続いたが、ある日牛耳郎の家は大きな波に流されてしまった。なんとか助かったが、こんなに怖い思いは二度としたくない。牛耳郎は次の住処を山に移すことに決めた。山ではキノコ狩りをしたり、木イチゴのジャムを作ったりしていて、これものどかな暮らしで決して悪くなかった。

しかし、山には大波はこないが、夏はえらく暑くなるし、紫外線が意外とキツいため割とコマメに日焼け止めを塗らなければならなかった。やがて日焼け止めが底をつくと、牛耳郎は山を降りるほか選択がなくなっていた。

その後、海にも砂浜にも山にも住めない牛耳郎は住処を都会に移すことに決めた。いまは週末に限って砂浜に出向き、ビーチバレーの練習を続けている。

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