11.17.2008

めでたい初体験

高校生だったころ、こっそりバーに忍び込んだことがある。経緯が、ちょっとばかりある。ちなみに、私は未だお酒があまり飲めない。

私は夏休みか何かで、そのころ大学に通っていた姉の住む街に遊びに行っていた。かなりの田舎で、夜行バスから見える景色は見渡す限りのトウモロコシ畑と牛たちと広い広い空だった。バスが街に到着したのは夜中前で、腹が相当減っていた。多分、とても長いバスの旅だったと思う。10何時間、とか。

街といっても大学があくまでも中心で、店らしい店は少なかった。ずぼらな姉に「なんか食べてくれば」と送り出され、私はそのバーに踏み入れた。バーであることは外からは分からなかった。後から聞いた話だと、実際のところその街の学生にとってその「バー」は「バー」でありながら、「食堂」でもあり「図書館」でもあり「たまり場」でも「ナンパ場所」でもあったそうで。

食べ物にありつければどこでも良かった。

高校生が目立つといけないので、二人用の小さなテーブル席についた。料理が席に運ばれてから間もなく、ヤツが近づいて来た。私の人生史上最初で最後の純正逆ナンパ。同性愛者の方だった。ヒゲをはやしていて、様相は一昔のヒッピー風だった。

「ここに座っていいかい?」

「いいですけど。」

「ここでなにやってんの?」

「メシ食べてるの」

「一人で?」

「腹減ってるんだけど・・・」

「後で遊ぼうよ」

腹をすかした不機嫌そうな若干一日風呂に入ってない系の高校生と何をして遊びたいと言うのだ。

「何して遊びたいんだ」

「そりゃ、口では言えないことをしてやりたいのさ」

ニヤリと笑った。

一瞬にてその意図の全貌が分かり、ゾゾゾと来た私は(別に同性愛者どうこうではなく、やつの目つきが完全にイカれていたことにも気づいた)。事態を回避するために、何故だか私は高校生の浅い知識なりの「イヤな女」を必死に演じることにした。

「いま忙しいの。邪魔しないでくれる?」

「そうだ、僕と公園に行こうよ。」

「だから、なにしによ。」

「上モノ持ってるんだ。君に分けてあげるよ。」

やれやれ。

てか、ひぇー。

結局私はつれない女を最後まで貫ぬいて、彼の誘いを回避しつつも飯を完食することに成功した。ちなみに、私は未だガンジャも吸ったことがない。上記も含め、自慢話なんだか痛い話なんだかよく分からない。

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