8.07.2007

嫉妬心、ボールペン

「私はこのボールペンが好きだ。なぜなら、ガッシリした持ち応えが気持ちいいし、長く書いていてもインクが途切れないから。」

「それなら私もそのボールペンが好きだ。私はあなたのようになりたいと思うから。」

「君、それはちょっと変じゃないかな。だって、君は必ずしも私と同じように、ガッシリした持ち応えが好きとは限らない。もしかしたら、スラッとしたボールペンの方が君の手に合うんじゃないのか?そして、君は必ずしも私と同じように、長く書いていてもインクが途切れないボールペンを好むとは限らない。もしかしたら、インクが途切れたとしても繊細なラインを描けるボールペンの方が好きだったりしないのか?何事も自分の考えをしっかり持たなければ。」

「わざわざどのようなボールペンが自分に一番合っているかはどうでもいい。だって、どんなボールペンだってしばらく使っていれば慣れていくものだから。色々考えるよりも、憧れている君と同じものを使うことにしたほうが合理的だろう。君は仕事においてもとても優秀だ。君の真似をすれば私も優秀に近づけるかもしれない。」

「でも、それでは君はただの真似っこ猿だ。信じがたいが、仮にでも君が私と同じボールペンを使ってそれを原因に仕事で優秀になったとしても、それは君自身の考え、君自身の努力で優秀になるわけでない。それは、僕の手柄になってしまう。それでもいいのか?」

「それは、もともと真似をしようという発想をしたのは私なのだから、別にあなたに対して何も借りをつくったことにはならないね。依然、私は自分の考えを持って行動していることになるから。」

「気持ちが悪い。」

「それは私の知ったことではない。」

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