6.13.2007

お母さまの差し入れ

ただいま。おかえり。
おかえり。ただいま。
さて、今日の夕飯はどうする?

共働きの田島夫婦。妻の優子さんは冷蔵庫を開けた。トマトが一つ。発泡酒の缶が、三種類。こないだの日曜日、飲み比べしようかと二人で盛り上がったときに買ったものだ。しかしおっと、今は夕飯だ、夕飯。トマト一つでどうすればいいのだ。優子さんはとりあえずトマトを取り出し、テーブルの上におく。とてもうまそうなトマトだ。みずみずしく、赤々しく、冷え冷えのトマトだ。傷一つない。

夫の修二さんはもう座っている。優子さんも座る。
夫婦の間に、トマトが一つ。

今日、腹減ってる?冷やしトマトだけでいいんじゃない。日曜日の発泡酒も残ってるんだし。せっかく美味しそうなトマトなんだ、そのまま食べちゃおう。今日は出前にする?でも、それじゃあこのトマトがもったいないな。日にちたったら美味しくなくなるかもね。最近、本当に外食多いからな。いや、やっぱりちゃんと食べなきゃダメ。面倒くさがらないでさ。せめて、ピザトーストにでもしよう。スパゲッティなんか茹でてもいいし。コンビニにさくっと行ってくれば簡単な材料だったら、きっと揃う。

ちょっと、発泡酒出してよ。

ああ、うん。

プシュ。プシュ。とりあえずご苦労さま。

トマト一個ね。ん、いつトマトなんか買ったっけ。あら覚えてないの?先週の土曜日、お母さん来てご飯作ってくれたじゃない。トマトが余ったの。ああ、そうだったっけ。

やっぱり、お腹空いたね。

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