いろいろ、拾って眺める
「こう言うとアレなんだけど、淡泊なのよね。あの人といると。」
広美は、カフェラテの泡をマドラーでつつきながら言う。カラメルやらシナモンをやたらめったら入れるもんだから、もはやコーヒーの仲間とは呼びがたい飲み物を。
「これ、甘すぎるわ。」
友人の千鶴はやさしく笑う。
「だって、デートっていったって、何か食べに行くか買い物するか、そんなパターンがずーっとこのごろ続いてるのよ。先週なんか、ほんと久しぶりに映画館にいったわよ。さんざん迷ったあげく。」
「あら、だってあなた気に入ってたじゃない、信二さんのこと。誠実そうだって。」
「誠実ねぇ。それは、そうなんだけど。でも、そのかわり行動も大体読めちゃうのよね。このネックレス、あるでしょ?一年前にこれ欲しいって言って、信二さんがんばって貯金して今度の誕生日にプレゼントしてやるって言って、ずっと貯金してて。」
「ステキじゃない。」
「あの人だったら毎月かかさず貯金をやってけると思ったわ。全然苦じゃなかった見たい。」
「あら、あなたずいぶん残酷ね。苦行でもしないとダメなの?」
「そんなんじゃないよぉ~、もう千鶴ったら。」
「結婚しちゃえばいいじゃないの。」
「それを今体験してる見たいだわ。」
「セックスは上手なんでしょ?」
広美は、少し千鶴から目を離す。
「大きな声で言わないでよぉ。ワンパターンでもいいことはあるのよ。」
「あなた、しあわせよぉ」
「えぇ、なんで?」
「先週だって、あなたと似たような会話したじゃない。」
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