6.01.2007

奇跡の箱、魔法の瓶

公園のゴミ捨て場で拾ってきてから一週間たつが、我が家の宇宙人は良い具合に地球の生活に慣れてきたようだ。日本語もずいぶん達者になった。なぜか偉そうな口調で喋るようになったのは少し気になるが。子供は宇宙人のことをずいぶん気に入ったようで、名前までつけたようだ。ゴミンゴと読んでいる。ゴミンゴは元々名前なんてなかったものだから、あまり理解していないのか、あまり気にしていない。

「地球人の子よ」

「なーに、ゴミンゴ」

「ママがお料理をつくる、あの部屋にある、あの物体は何だ」

ゴミンゴはヒレでテーブルに指す。

「マホービンだよ」

「魔法の瓶か、それはすごそうだな。具体的な機能は何なのだ」

「ママー、マホービンって何するの?」

「保温」

妻は、ゴミンゴの態度が気に入らない。
トントントン。背を向けたままネギを切っている。

「おい、ママ」

「何よ」

「あれは熱湯を沸かしたり、保温したりするほかなにか・・・」

「保温だけよ。ヤカンで沸かして、マホービンに移すのよ」

「お前たちの魔法というのは・・・その程度」

「そうよ。何かわるい?」

「魔法と呼ぶには多少大げさだと思わないか?」

「アンタの星にはどんな魔法があるのよ」

「聞いて驚くな。食器を自動的に洗う機械が最近開発されたばかりだ。」

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