12.19.2006

オオカミの餌

インディアンのハンターは息子に言った。
日が暮れるから、そろそろ村に帰るぞ。

でも父さん、今日は一つも獲物を獲れていないよ。僕のワナにこのウサギがはまっていたけど、これだけではみんなのお腹をいっぱいにすることはできない。日が暮れたら、年老いたシカか、イノシシが油断して出てくるかもしれないよ。

ないものを願っていても仕方がない。母さんたちが待っている。今日の収穫はこのウサギだけだということを受け入れよう。村に戻ったら、母さんとおババがトウモロコシのかゆを作ってくれる。前にとったシカ肉を保存したのも十分残っているだろう。今日大物が獲れようと獲れまい、明日の狩は今日と同じ、どのみち精一杯がんばるだろう?一日だけ、肉を食べてなかったからといって、我々の身体だってそんなにヤワではない。一日の成功や失敗、出来事の一つ一つとは、そんなに気にすることではないんだ。

お前は、この一日だけのために生きてるわけじゃないだろう?

でも父さん、もう時期真冬だし、日に日に寒くなっていく。
獲物もどんどん減る一方だと思うよ。蓄えないと。

大分、狩の知恵も身につけたようだな。うれしく思う。
ただ、まだまだ知恵に踊らされているだけだ。

今、何が一番大事か、とらえろ。

さっさとついてこないと、お前を置いていきオオカミの餌にしてやるぞ。

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