目を合わせてみたい
妙なことが起きている。いまでも起きていることなので、意味や結末があるのかわからないでいる。
都会の住宅街に住んでいる。昔からある地域なので建物も古くて家賃も安い。そのかわり、これでもかと密集していて道もびっくりするほど狭い。軽自動車で通ろうとしてもかなり神経を使うほどだ。
ある夜いつもの帰路についた。終電を逃してしまったので0時過ぎだったと思う。人気のない狭い道を歩いてると、対向から人影がぼうっと見えてきた。わたしから30メートルくらいに距離が縮まったところで妙なことに気づく。
若い女性、ワンピースにバッグ。まっすぐ歩いているが、顔がずっと真横を向いている。顔を認識できる距離になると、笑顔の状態で顔が固まっていることがわかる。口の端がつりあがり歯が見えていて、目元はクシャクシャ。顔はまるで大声で笑っているようなのに、何も声を発さず、そして身体は平然と真っ直ぐに歩いている。
全貌がわかったころには10メートル先まで距離が縮まってしまい、私はその場で固まってしまった。このまますれ違ってしまったら、私は彼女の視野に入ってしまう。
どうすれば。
わたしはとっさに目をつぶった。
振り向いて彼女の後ろ姿を確認すると、そのまま横を向いたまま歩き去っていった。
これがこのごろ、毎晩続いている。何時であろうと、この場所で同じ女とすれ違うシチュエーションが繰り返されている。
何が怖いかって、あの女と目を合わせてみたいという衝動におそわれている。
都会の住宅街に住んでいる。昔からある地域なので建物も古くて家賃も安い。そのかわり、これでもかと密集していて道もびっくりするほど狭い。軽自動車で通ろうとしてもかなり神経を使うほどだ。
ある夜いつもの帰路についた。終電を逃してしまったので0時過ぎだったと思う。人気のない狭い道を歩いてると、対向から人影がぼうっと見えてきた。わたしから30メートルくらいに距離が縮まったところで妙なことに気づく。
若い女性、ワンピースにバッグ。まっすぐ歩いているが、顔がずっと真横を向いている。顔を認識できる距離になると、笑顔の状態で顔が固まっていることがわかる。口の端がつりあがり歯が見えていて、目元はクシャクシャ。顔はまるで大声で笑っているようなのに、何も声を発さず、そして身体は平然と真っ直ぐに歩いている。
全貌がわかったころには10メートル先まで距離が縮まってしまい、私はその場で固まってしまった。このまますれ違ってしまったら、私は彼女の視野に入ってしまう。
どうすれば。
わたしはとっさに目をつぶった。
振り向いて彼女の後ろ姿を確認すると、そのまま横を向いたまま歩き去っていった。
これがこのごろ、毎晩続いている。何時であろうと、この場所で同じ女とすれ違うシチュエーションが繰り返されている。
何が怖いかって、あの女と目を合わせてみたいという衝動におそわれている。
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