1.16.2021

負け戦

どんぐり町の少年野球部は弱いが愛されている。

練習熱心で、学業も怠らず、監督や大人には礼儀正しく、身内には誠実で、年下の子供にやさしい。ただ、残念なことに弱い。練習熱心なのに、技も力もチームワークも身に付いていない。目立ったスター選手もおらず、みんな同じように下手くそで、みんな同じようにいい子だった。

試合に勝ったことはないが、楽しいから続けている。

ある日、メジャーリーグのニューヨークヤンキーズから試合の申し入れがあり、どんぐり町少年野球野球部は応じることにした。多分勝てないが、売られたケンカを買わないわけにはいかない。

相手のヒットや点数は青天井になるだろう。こちらはおそらく一点も入らない。まともに出塁すらできないだろう。

チームの目標は「町のメンツを守るため、なんでもいいから数字として残る戦いの形跡」を残すことにし、一つでもデッドボールを誘い出塁する策に出た。。。

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