2.24.2019

後悔

日差しと人通りの気配がする。おぼろげに意識がもどる。首と背中が痛い、多分ベンチ。ここは多分、新橋。いまは多分、土曜日。目をつぶったまま、情報の断片を組み合わせて事態を把握しようとする。無論、悪い予感が、する。最後の記憶はどこかのダーツバーだったか。

手の感覚が戻り、無意識にズポンのポケットに触れてみる。左に携帯電話、右は家の鍵。ため息をつく。拳で目ヤニをこすり落とす。

突然、猛烈な不安に駆られて一気に立ち上がって尻のポケットをさわる。財布、ない。ベンチに向かって周りを確認する。カバンも、ない。しゃがんでベンチの下も見てみるが、タバコの吸い殻が数本あるだけ。

まるでブラックホールを飲み込んだように胃がきゅーっと締まるとともに、一気に脳が活性化する。カバン、財布、書類、パソコン、客先の手土産(どうでもよい)。警察怒られない、会社怒られる、次どうすればいいか。まずは周りのゴミ箱を片っ端からさがすか、まずは警察か、いや、携帯電話あるしクレジットカード止めるか、いや番号暗記してないしどうしよう。まずは帰るか、いや、お金がない。

酒は怖い。
いや、酒を飲むオレが怖い。

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