春の出会い
寺井ひろき、男21歳。
大学を卒業して不動産会社に就職した。全国のあちこちに営業店をかまえる会社で、縁もない群馬県で単身赴任となった。前橋にある事務所に近い1Kを借りることにした。
引越し屋が帰ると、すんと部屋が静まりかえった。そうだ、この街には一人も知り合いがいない。寺井は近くのコンビニでビールとつまみを買い、ひとまず晩酌することにした。
日が暮れ夜も更け。天井の青白い蛍光灯にあたると、思った以上にアパートがボロいことに気づく。酔いもすぐまわり、0時過ぎには布団に潜り込んだ。
声が聞こえる。
「借金も減らないし、嫁は出て行くし、何も面白くなくて。首吊ってしまったわけですわ」
「それは気の毒に。。あたしは強盗に遭って包丁でグサり」
「そうかぁ、それは残された身内もかわいそうだな」
寺井は布団の中で凍りついた。幽霊だ。
「お、そこのお兄さん、起こしてしまったかい」
気づかれた。頭が真っ白になった。
「噛みつきゃあしないさ」
「そうよ、お話ししましょう」
感じの良さそうな人たちだ。
本当に大丈夫なのか。
「お兄さんは俺たちに何も悪さしてないだろ?」
大学を卒業して不動産会社に就職した。全国のあちこちに営業店をかまえる会社で、縁もない群馬県で単身赴任となった。前橋にある事務所に近い1Kを借りることにした。
引越し屋が帰ると、すんと部屋が静まりかえった。そうだ、この街には一人も知り合いがいない。寺井は近くのコンビニでビールとつまみを買い、ひとまず晩酌することにした。
日が暮れ夜も更け。天井の青白い蛍光灯にあたると、思った以上にアパートがボロいことに気づく。酔いもすぐまわり、0時過ぎには布団に潜り込んだ。
声が聞こえる。
「借金も減らないし、嫁は出て行くし、何も面白くなくて。首吊ってしまったわけですわ」
「それは気の毒に。。あたしは強盗に遭って包丁でグサり」
「そうかぁ、それは残された身内もかわいそうだな」
寺井は布団の中で凍りついた。幽霊だ。
「お、そこのお兄さん、起こしてしまったかい」
気づかれた。頭が真っ白になった。
「噛みつきゃあしないさ」
「そうよ、お話ししましょう」
感じの良さそうな人たちだ。
本当に大丈夫なのか。
「お兄さんは俺たちに何も悪さしてないだろ?」
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