夏のスペクタクル
平山薫、会社員37才。妻・聖子36才、娘・紀子6才。性格は穏やかで社交的、若干のワーカホリック気質。この日、彼はとてもワクワクしている。
今年のお盆休みは仕事のため、妻と娘を田舎に送り出して留守番することになった。家は薫王国。何時に帰宅しても怒られることはない。食費は前金でばっちり確保済み。仕事も意外に早く片付いた。すべての状況が好転し、奇跡としか言いようのない、七日間の祭りが訪れた。平山薫は妻と子供は大事にしているが、それとこれとはまったく別次元のことである。世の中の男の夢と希望のためにも、平山薫にはこの授かったチャンスを活かす使命がある。心のファンファーレが彼を奮い立たせた。
計画が肝心だ。7日間連続ツタヤでは、本当に全米が泣いてしまう。平山薫は携帯の連絡先を片っぱしから棚卸した。登録名、泥沼汗太郎。。。泥沼汗太郎。。。そうだ、モモヨちゃんだ。モモヨちゃんとデートをするのだ。この時期のお誘いは意外とトリッキーだ。相手の帰省計画とバッティングするリスクはもちろんあるし、上手く自分がヒマである理由を明確に伝えないとイメージダウンにもなりかねない。そうだ、実家を海外にしてしまおう。仕事が忙しくて航空券をとるタイミングを見誤ったと。うむバブリーで大変よろしい。結果、モモヨちゃんに悪い印象は与えることなく誘うことができた。しかし、彼女は既に田舎の神戸に帰省していたためデートは実現しなかったのでおあいこであった。
-----
もう3日目の夜だ。ビデオを見終わった平山は深くソファに腰かけて溜息をついた。フハァ。
コメント0archive
Post a Comment
<< Home