4.07.2018

森の木が倒れた

元オペラ歌手のイタリアのニョッキ・マカローニ、28才。果てしなくのびやかで、表情豊かなテナーボイスを武器に若くしてデビュー、世界中のクラシックファンの心を一気につかんだ。プロ意識も高く、数々のオペラ団やオーケストラとの実績を築いていったのだった。公私ともに人間関係も良好で、日本人の一般女性との婚約も話題を呼んだ。

順風満帆そのものに見えた。そんなマカローニが突然引退したときに激震が広がった。スキャンダルか、故障、病、いや金銭問題かとさまざまな憶測が花粉のように舞い飛んだ。

見兼ねたマカローニは既にモナコで隠居していたので、事態を収束させるために直筆の声明文を公開した。

「みなさまお元気でしょうか。

私はいまモナコで幸せに暮らしてます。スキャンダルも故障も病も金銭問題もありません。

毎日、家で歌ってます。最近はヘンデルのオンブラマイフーが気に入ってます。みなさまにはありきたりな曲かも知れませんが、生涯かけて極める価値のあるものだと思うようになりました。

大勢の前で披露する機会はもうありませんが、今以上音楽に身を捧げようと決心してます。」

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