9.19.2015

成功

戦時中、遠い親戚に特別攻撃隊員がいたことを知った。母方の祖父の従兄弟にあたる。アメリカの戦艦に突撃を果たして亡くなったそうで、靖国神社で英霊の一人として祀られているらしい。名は宗次郎、享年22才。

昨年のお盆だったか。酒に酔った叔母によれば気の毒な話なので、家族同士でも語られなくなったそうだ。宗次郎の戦闘機は最後の飛び立ちで爆薬を積んでおらず、戦艦を撃破できずに死んでしまった。原因が積み忘れだったのか、それとも物資が切れて積めなかったのか、明らかでない。

「あの頃はね、誰も口にしないけど、みんなもう勝てっこないって分かってた。宗次郎さんも最後の最後で命を落とすことになって、腹底さぞかし無念だったろうねぇ。」

そんな宗次郎の日記らしきものが最近本家で発見された。飛び立つ前日、自分の命はないものとして、どうにか他人を殺さなくて済む方法がないかと模索していたようだった。

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